あいまいな状況に置かれた人の姿を描いた白黒の絵を見て、物語を作る。その物語に、本人の気づかない気持ちが隠されているというのである。つまり、無意識が暴露されるというわけである。これは「TAT」(主題統覚検査)という 心理検査の一つである。心理検査の中でも投影(投映)法という手法である。
ゼミでは、セラピストによって解釈された無意識の内容は、信頼性が高いと言えるのだろうかという点について意見が交わされた。3人のセラピストがいれば、3通りの解釈がなされるのでないだろうか。また、セラピストの意識が反映される場合もあるのではないかと。
私は、検査結果が独り歩きし、結果が全てであるかのように扱われることは危険であると思う。検査を受ける人が自由に答えられる点は、利点である。が、解釈することも自由度が高く、主観的ともいえ、治療にどう活かすのかが問われるのであろう。講師の井戸啓介先生(富山県立大学)は、病気の快復の様子をみるのに使うのはよいのでないかという考えであった。
ゼミ仲間は、全て社会人。人生経験も様々で、実経験に基づいた意見になるほどと思うこともしばしば。これが放送大学のよさのひとつであると思う。